1. 生成AIの基礎(約30%)
AI・ML・生成AI の関係
生成AIは AI の一部で、「分類・予測する」のではなく「新しいものを作る」AI です。
AI(人工知能) ⊃ 機械学習(ML) ⊃ ディープラーニング ⊃ 生成AI という包含関係で捉えます。
AI(人工知能)人間のように考える・判断するしくみ全般(ルールベースも含む)
機械学習(ML)データからパターンを学ぶ
ディープラーニング多層のニューラルネットワークで学ぶ
生成AI文章・画像・音声・動画・コードを新しく作る
外側ほど広い概念。生成AI はディープラーニングの一種
| 種類 | 概要 | 例 |
|---|---|---|
| 教師あり学習 | 正解ラベル付きデータで学習。分類・回帰 | スパム判定、需要予測 |
| 教師なし学習 | ラベルなしでパターンを発見 | 顧客セグメンテーション、異常検知 |
| 強化学習 | 報酬を最大化するよう試行錯誤 | ゲームAI、ロボット制御、RLHF |
| 予測AI(Predictive AI) | 既存データから結果を予測・分類 | 解約予測、不正検知 |
| 生成AI(Generative AI) | 学習したパターンから新しいコンテンツ(文章・画像・音声・動画・コード)を生成 | 文章作成、画像生成、要約 |
予測AI と 生成AI の違い
過去の顧客データ
→
予測AI「この顧客は解約しそう:85%」
答えは決まった選択肢・数値
答えは決まった選択肢・数値
「新商品の紹介文を書いて」
→
生成AI「春の新作は…」
毎回、新しい文章を作る
毎回、新しい文章を作る
予測AI は「天気予報士」(明日の降水確率を答える)、生成AI は「作家」(頼まれた文章を書き下ろす)。
予測AI=「分類・予測する」、生成AI=「新しいものを作る」。選択肢の見分けでよく問われます。
基盤モデル・LLM・マルチモーダル
基盤モデルは「何でも屋の土台」。大量のデータで一度学習しておけば、プロンプトやチューニングで多くの仕事に使い回せます。
大量・多様なデータWeb の文章、画像、コード など
→
事前学習膨大な計算で
一度だけ行う
一度だけ行う
→
基盤モデル汎用の土台
例:Gemini
例:Gemini
→
いろいろなタスク要約・翻訳・Q&A・画像生成・コード生成…
タスクごとにモデルを一から作らなくてよいのが最大の利点(プロンプトやチューニングで適応させる)
基盤モデルは「幅広く勉強した新入社員」。部署ごとの仕事は、指示(プロンプト)や研修(チューニング)で覚えてもらいます。
- 基盤モデル(Foundation Model):大量・多様なデータで事前学習された汎用モデル。プロンプトやチューニングで多様なタスクに適応できる。
- LLM(大規模言語モデル):テキストに特化した基盤モデル。Transformer アーキテクチャ(Attention 機構)に基づく。
- マルチモーダルモデル:テキスト・画像・音声・動画・コードなど複数の形式を入出力できる(例:Gemini)。
- 拡散モデル(Diffusion):ノイズから徐々に画像を生成する方式(画像・動画生成で主流)。
トークンとコンテキストウィンドウ
生成
AI
は
文章
を
作る
入力(プロンプト・資料)
出力
空き
文章はトークン(単語の断片)に分けて処理される(分け方は例)。入力+出力の合計がコンテキストウィンドウに収まる必要がある
主要な用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| トークン | モデルが処理するテキストの最小単位。料金・入力上限の単位 |
| コンテキストウィンドウ | 1回のやり取りでモデルが扱える入力+出力のトークン量。Gemini は非常に長い(100万トークン級) |
| パラメータ | 学習で獲得されるモデルの内部値。数が多いほど表現力が高いがコスト・遅延も増える |
| 埋め込み(Embedding) | テキスト・画像などを意味を保った数値ベクトルに変換。類似検索・RAG の基盤 |
| 推論(Inference) | 学習済みモデルで出力を生成すること |
| 事前学習 / ファインチューニング | 汎用データでの初期学習 / 特定タスク・領域への追加学習 |
生成AIのライフサイクルと限界
生成AIは作って終わりではなく、評価・監視・改善を回し続けるもの。そして「もっともらしい間違い」をすることがあるので、対策とセットで使います。
モデルの流れ
データ集める・整える
→
事前学習基盤モデルを作る
→
チューニング必要なら用途に合わせる
→
評価品質・安全性を確認
→
デプロイ監視しながら改善
監視で見つかった問題は、データやチューニングに戻って直す(ぐるぐる回す)
主な限界・リスクと対策
ハルシネーションもっともらしいが事実と異なる出力
→
グラウンディング、RAG、人間による確認
知識のカットオフ学習時点以降の情報を知らない
→
Google 検索や社内データでグラウンディング
バイアス学習データの偏りが出力に出る
→
多様なデータ、バイアス評価、継続的な監視
非決定性同じ入力でも出力が毎回変わりうる
→
temperature を下げる、出力形式を指定する
データ漏洩・プライバシー機密情報をプロンプトに含める
→
機密データのマスキング、アクセス制御、利用ルール
このほか、著作権・IP、説明可能性の低さ、悪用(ディープフェイク等)にも注意
ハルシネーションは「知ったかぶりする物知り」。自信満々に答えるので、資料を手元に置いて答えさせる(グラウンディング)か、人が確認します。
データの種類
構造化データ表の形に整っている
例:売上表、顧客 DB
例:売上表、顧客 DB
非構造化データ決まった形がない
例:文書、画像、動画、音声
例:文書、画像、動画、音声
生成AIは非構造化データの活用が得意
どちらの場合も、データ品質(正確・網羅・最新・関連性)が結果を左右する。
基盤モデルの種類と選び方
Google の基盤モデルは「何を作るか(モダリティ)」で使い分け、同じ Gemini の中では「性能か、速さ・安さか」で選びます。
Geminiマルチモーダル
テキスト・画像・音声・動画・コード
テキスト・画像・音声・動画・コード
Imagenテキストから画像の生成・編集
Veoテキスト・画像から動画の生成
Lyria音楽の生成
Chirp音声認識・音声合成
Gemma軽量なオープンモデル
自社環境・端末でも動く
自社環境・端末でも動く
Gemini の Pro / Flash / Flash-Lite
Pro高性能
複雑な推論・難しいタスク
複雑な推論・難しいタスク
Flash速さと品質のバランス
大量処理・低遅延
大量処理・低遅延
Flash-Liteさらに軽量・低コスト
単純なタスクを大量に
単純なタスクを大量に
賢さ:高い(コスト・遅延も大)速さ・安さ:高い
社内の仕事の振り分けと同じです。難しい判断はベテラン(Pro)、定型作業を大量にこなすのは手の速いスタッフ(Flash)に任せます。
モデル選定の観点
- タスクへの適合性・品質(モダリティ)
- レイテンシ(応答速度)とコスト
- コンテキスト長
- カスタマイズ性(チューニング可否)
- セキュリティ・データ所在地・コンプライアンス
- オープンモデル vs 商用(プロプライエタリ)モデル
「複雑な推論=Pro」「大量処理・低遅延・低コスト=Flash」が基本。まず小さいモデルで試し、足りなければ大きいモデルへ。