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1. デジタルトランスフォーメーション

クラウドコンピューティングの基本

サーバーやストレージを「買って持つ」のではなく「必要な分だけ借りる」のがクラウドです。

電気と同じです。自宅に発電機を置く(オンプレミス)より、電力会社から使った分だけ買う(クラウド)ほうが、初期費用がかからず、足りなくなる心配もありません。

クラウドとは、インターネット経由でコンピューティングリソース(サーバー、ストレージ、DB、ネットワーク、AI など)を必要な時に必要なだけ利用する形態です。

NIST が定義する5つの特徴

特徴かんたんに言うと
オンデマンド・セルフサービス申込書や担当者を待たず、画面から自分ですぐ使い始められる
幅広いネットワークアクセスPC・スマホなど、どこからでもネット経由で使える
リソースプール大きな設備を複数の顧客で共有している(マルチテナント)
迅速な伸縮性(Elasticity)アクセスが増えれば自動で増やし、減れば自動で減らす
従量課金(Measured service)使った量を計測し、その分だけ支払う

CapEx から OpEx へ

オンプレミスは 資本的支出(CapEx)=先に設備を買う「先行投資」。クラウドは 運用費(OpEx)=使った分だけ毎月払う。下の図のように、オンプレでは需要を読み違えるとムダや不足が出ますが、クラウドは需要に合わせて伸び縮みします。

時間 → 必要な量 ムダ(使わない設備) 不足! (機会損失) 追加購入でまたムダ 実際の需要 オンプレ(CapEx) クラウド(OpEx)
オンプレは「階段状」にしか増やせない。クラウドは需要に「ぴったり沿って」増減できる

サービスモデル(IaaS / PaaS / SaaS)

違いは「どこまで自分で管理するか」です。右に行くほど Google におまかせする範囲が広がります。

レイヤーオンプレIaaSPaaSSaaS
データ・アクセス管理あなたあなたあなたあなた
アプリケーションあなたあなたあなたGoogle
ミドルウェア・ランタイムあなたあなたGoogleGoogle
OSあなたあなたGoogleGoogle
仮想化あなたGoogleGoogleGoogle
サーバー・ストレージ・ネットワークあなたGoogleGoogleGoogle
データセンター(建物・電源)あなたGoogleGoogleGoogle
例自社サーバーCompute EngineApp Engine
Cloud Run
Google Workspace
あなたが管理 Google が管理
ピザで考えると、オンプレ=材料から全部手作り、IaaS=生地と窯を借りて自分で焼く、PaaS=宅配ピザ(テーブルと飲み物は自分で用意)、SaaS=お店で食べる(食べるだけ)。

デプロイモデル

パブリッククラウド

Google Cloud などを複数の顧客で共有

プライベートクラウド

自社専用の環境(オンプレを含む)

ハイブリッドクラウド

オンプレ + クラウドを組み合わせる

マルチクラウド

複数のクラウド事業者を使い分ける(ロックイン回避・各社の強みを活用)

試験ポイント:「オンプレと他クラウドを一貫して管理したい」→ GKE Enterprise(旧 Anthos)。

Google Cloud のグローバルインフラ

リージョン=地域、ゾーン=その地域の中の独立したデータセンター群。どこに置くか(何か所に分けるか)で、可用性・災害対策・速さが決まります。

リージョンは「都市」、ゾーンは「その都市にある別々のビル」。1つのビルが停電しても隣のビルで営業を続けられ(高可用性)、都市ごと被災しても別の都市で続けられます(災害対策)。
リージョン:asia-northeast1(東京)
ゾーン a
ゾーン b
ゾーン c
リージョン:asia-northeast2(大阪)
ゾーン a
ゾーン b
ゾーン c
複数ゾーンに分散
→
高可用性1つのデータセンターが止まっても動き続ける
複数リージョンに分散
→
災害対策(DR)地域全体が被災しても動き続ける
ユーザーに近いリージョン
→
低レイテンシ応答が速くなる

データの保存場所に法律や社内規定がある場合(データ所在地要件)も、リージョン選びの判断材料になります。

Google は自社のプライベートな光ファイバー網で世界のリージョンを結び、低レイテンシ・高信頼を実現しています。また 2007 年からカーボンニュートラルで運用しており、24時間365日のカーボンフリーエネルギーを目指しています(排出量は Carbon Footprint ツールで確認できます)。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

DX は「紙をデジタルにすること」ではなく、デジタルを使ってビジネスのやり方そのものを変えることです。

デジタイゼーションアナログ→デジタル
例:紙の書類を PDF に
デジタライゼーション業務プロセスをデジタル化
例:申請・承認をワークフロー化
DXビジネスモデル・文化・顧客体験を変革
例:データを活かした新サービス
段階が上がるほど、変わる範囲が「作業」→「業務」→「会社全体」と広がる

成功の鍵は技術だけではありません。経営層のスポンサーシップ・文化・スキル・変革管理がそろって初めて進みます。

Google Cloud Adoption Framework の4テーマ

Learn(学習)社員のスキルを育てる
Lead(リード)経営層が方向を示す
Scale(拡張)自動化して規模を広げる
Secure(保護)セキュリティを確保する

移行戦略(6R の代表例)

引っ越しにたとえると、Rehost=家具をそのまま新居へ運ぶ、Replatform=運ぶついでに一部の家電を買い替える、Refactor=新居に合わせて家具を全部作り直す。
Rehostリフト&シフト
変更せずそのまま移行
Replatform一部だけ最適化
例:DB をマネージドへ
Refactor / Re-architectクラウドネイティブに再設計
速い・低リスク・効果は小さめ時間とコストは大・効果も大
このほか Retire(廃止する)/Retain(今は移行せず残す)もある

共有責任モデル

Google は「クラウドそのもの」を守り、顧客は「クラウドの中に置いたもの」を守ります。

賃貸マンションと同じです。建物の構造やオートロックは大家さん(Google)の責任ですが、部屋の鍵を誰に渡すか、部屋に何を置くかは住人(顧客)の責任です。
Google の責任:クラウド「の」セキュリティ

データセンターの物理的な警備、ハードウェア、ネットワーク基盤 など

顧客の責任:クラウド「における」セキュリティ

データ、IAM(誰に何を許可するか)、設定 など

IaaSGoogle の範囲:小
→
PaaSGoogle の範囲:中
→
SaaSGoogle の範囲:大
どのモデルでも、データとアクセス管理は常に顧客の責任(上の IaaS/PaaS/SaaS の表の一番上の行)